顧客接点の多様化にどう対応するか
―AI技術で変貌するコンタクトセンター―

―AI技術で変貌するコンタクトセンター―
店舗やWEBサイト、メールやSNSなど、企業と顧客との接点は急激に増えている。顧客から日々得られる情報は、企業に大きな価値をもたらし得る。そして、その活用を担うのがコンタクトセンターだ。コンタクトセンターはまた、応対品質の向上により企業と顧客との関係を深め、応対業務の効率化により社内の業務変革を進める。ここでは、「コンタクトセンター×AI技術」で何ができるようになるのか、その一端を見てみよう。

多くの課題を抱えるコンタクトセンター

顧客接点が多様化するなかで、現在、コンタクトセンターの位置付けは大きく変わりつつある。コンタクトセンターには、電話、メール、SNSやチャットなど、多様化する顧客接点から、膨大なVOC(Voice of Customer:顧客の声)が集まってくるためだ。では、これらをどのように分析し、顧客満足度の向上や応対業務の改善につなげればいいのだろう。

そこで鍵となるのが、様々な顧客接点に柔軟に対応できるオムニチャネル対応型のコンタクトセンターと、それを可能にするAI技術だ。膨大なVOCの収集・分析・活用にAI技術を活用すれば、オムニチャネル対応型コンタクトセンターは比較的容易に実現できる。

音声認識と話し言葉の分析で、応対品質を向上

とはいえ、大量の音声データを分析することは容易でない。実際、多くのコンタクトセンターにおいて、収集した生の声やデータが無駄になっているのではないだろうか。

そもそも、VOCの活用で応対品質を向上するには、まず顧客の生の声を効率よくテキスト化しなくてはならない。そこで使われるのが、音声認識技術だ。音声認識により、話し言葉の解釈や要点のリアルタイム抽出が可能になる。

この分析結果から顧客の要望や苦情などを理解することで、応対品質の向上を図る。これは「ありがとう率の向上」や「苦情電話の絞り込み」にもつながるのだ。

“表面的なありがとう”ではなく“本当のありがとう”を検知。顧客からの感謝、満足度を測る「ありがとう率」として指標化。

回答候補の自動表示で、応対業務を効率化

応対品質だけでなく、オペレーターの自己解決率の向上や応対時間の短縮、応対平準化といった応対業務の効率化も、コンタクトセンターを運営する上で大きな課題となる。

ここでも、大きな役割を果たすのがAI技術だ。すなわち、音声認識でテキスト化した会話内容から、リアルタイムに質問のキーワードを抽出し、回答候補となる情報を予測する。これにより、回答時間の大幅な短縮と、回答精度や応対品質の平準化や改善が可能になるだろう。

会話からリアルタイムにキーワードを抽出し、回答候補をオペレーター向けに即時検索して表示。

音声認識+リアルタイムに応対を補助する「VOiC AI SearchHelper」
詳しくは、お問い合わせください

AIチャットボットで、利便性が向上

24時間365日、いつでも簡単に質問できれば、顧客の利便性は高まる。よくある質問をチャットボットで対応可能になれば、コンタクトセンターの入電数も減るだろう。

しかし、チャットボットには「自然言語を正しく理解できるのか?」「あいまいな質問が理解できるのか?」といった疑問もつきまとう。すなわち、応対の質を確保できるのかという課題である。

AI技術を活用すれば、この課題も解決可能だ。顧客が入力した自然文を質問応答エンジンが解析し、知識データベース(QA集)から関連性の高い内容を自動的に判別して回答候補を提示するからだ。あいまいな質問の回答候補は、聞き返しシナリオで絞り込むこともできる。

QAのメンテナンスも容易になってきている。エクセルから簡単にQAを追加・修正できる製品が登場したからだ。こまめにメンテナンスすることで、WEBページからの離脱やコンバージョン率の改善を図ることも可能になる。

チャットボットを導入すれば、利用者はいつでもどこでも気軽に質問し、リアルタイムに回答を得られる。

クラウド型コンタクトセンターで、マルチチャネルに対応

オムニチャネル対応型コンタクトセンターを実現する上では、複数の顧客チャネルの統合が必要になる。しかも、統合後にチャネル間で連携が取れていないと、顧客とのコミュニケーションを引き継げない。AIとのスムーズな連携も求められるだろう。そのためには、拡張性の高いシステム基盤を選ぶ必要がある。

そのソリューションとして、現在、クラウド型のチャネル統合基盤が注目されている。クラウド型基盤を活用すれば、すばやく低コストでマルチチャネルに対応したコンタクトセンターが導入でき、業務の繁閑に応じた増設にも容易に対応できるからだ。また運用面でも、拠点の分散や一部業務のアウトソースといった変更に対する柔軟な対応が可能になる。

たとえば、近年利用率が急速に伸びているLINEを顧客接点として活用したいと考えたとしよう。クラウド型チャネル統合基盤を使えば、問い合わせ状況に合わせて、電話からLINE、LINEから電話への切り替えが可能だ。こうした細やかなサービスの提供が顧客満足度の向上につながる。

複数のチャネルを統合してハンドリングできる、コンタクトセンターシステム。

現在、ここで紹介したソリューションを組み合わせることで、コンタクトセンターの業務改善やサービス向上につなげている企業が増えている。こうした企業は、顧客の生の声を最大限に活用することに成功しつつあると言えるだろう。

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